2014年5月9日(金)
中国】中国の不動産開発企業の資金繰り環境が急速に悪化している。
住宅取引が顕著に低迷する中で、各社は値下げ戦略に転向。物件を売って利益を得るという従来の構図が崩れつつある。さらに米国の量的緩和策縮小による影響や、人民元安による投機マネーの中国離れで、海外市場での資金調達もままならない状況。2014年は不動産開発企業の資金繰りが最も厳しい1年になる――との悲観論も散見されるという。新聞晨報が8日付で伝えた。
主要100都市の4月・新築住宅価格は、1平方メートル当たり平均1万1013人民元(約17万9900円)。前月比で上昇した都市は55都市にとどまり、3月に比べて8都市減った。下落した都市は45都市。上昇都市をなお下回ったものの、下落幅1%超は16都市と、上昇幅が1%を超えた11都市より多かった。中国の今年の新築住宅販売についてモルガンスタンレーは、前年比で5%減少すると予想。住宅建設投資の伸びは13%に鈍化するとの見通しを報告している。
不動産企業の海外資金調達も低迷中。大手10社の今年4月の同調達額は118億100万人民元と、前月比で24.7%減を記録。2カ月連続の落ち込みとなった。さらに、中国不動産を投資対象とした海外で販売されるファンド商品についても、募集資金が集まっていない。中国の嘉実基金管理(ハーベスト・ファンドマネジメント)と英グロブナー・ファンドマネジメントの両資産運用会社は、中国の不動産部門に特化したファンドの発売計画を白紙撤回したという。嘉実基金のファンドは当初、5億米ドルを募集する予定だった。
中国で不動産引き締めが導入された2011年下半期以降、不動産デベロッパーにとって海外市場は最重要の資金調達源と化していた。しかし、資金が集まらなくなる中で、国内で新たな資調達先を見つける動きが一部の企業の間で見られ始めている。
不動産仲介大手、中原地産の張大偉チーフアナリストによれば、海外での資金調達が難しくなった理由は2つあるという。1つは米国が量的緩和策の縮小を進める中で、海外での資金調達コストが上昇したこと、もう1つは人民元安が投機マネーの中国流出を促していること。元高期待で中国に大量流入していたこれら投機マネーは、これまで主に不動産に向かっていた